2013年6月19日水曜日

野うまになったむすめ















「野うまになったむすめ」(ポール・ゴーブル/作 じんぐうてるお/訳 ほるぷ出版 1980)

昔、バッファローを追って、あちこち移り住んでいるひとびとがいました。この村に、馬の大好きな娘がいました。娘は、馬の大好きな草を知っていましたし、冬の吹雪から馬を守ってやれる場所も知っていました。それに、馬がけがをすると手当てしてやりました。毎日、娘は水くみとたきぎあつめの手伝いを終えると、馬たちと一緒に、一日中草原ですごしました。

ある日、いつものように馬たちとともにいた娘は、毛布を広げて横になると、眠りこんでしまいます。そのうち、黒雲が広がり、稲妻が光り、落雷によって大地が揺れうごきます。娘は一頭の馬に飛び乗り、驚いた馬の群れは風のように走りだして――。

ネイティブ・アメリカンの世界をもとにした一冊です。絵は、素朴さを保ちながら様式化された、色鮮やかな水彩。さて、このあと、馬たちは走り続け、娘は見知らぬ場所にたどり着きます。いっぽう、村人たちは姿を消した娘と馬たちをさがしまわります。そして、1年がたち、村の2人の狩人は、美しい牡馬にひきいられた野馬のなかに、娘がいるのをみつけます。2人の狩人は急いで村に帰り、男たちは足の速い馬に乗って、野馬の群れを追いかけます。ですが、牡馬がぐるぐるまわってたたかうので、なかなか娘に近づけずません――。神話のような、美しい読物絵本です。物語の最後に、作者はこう記しています。「これは昔の話だ。しかし、いまでも馬とわたしたちが親戚だと思うと楽しい気持ちになってくる」。1979年度コールデコット賞受賞作。小学校中学年向き。

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