2013年6月10日月曜日

しあわせハンス















「しあわせハンス」(グリム/原作 フェリクス・ホフマン/絵 せたていじ/訳 福音館書店 1978)

奉公して7年がたったハンスは、主人にお給金として金のかたまりをひとつもらい、自分の家をめざして旅にでました。すると、馬に乗った男に出会いました。馬に乗れば道がはかどると思ったハンスは、金のかたまりと交換し、馬を手に入れました。

馬に乗ったハンスは、最初こそ幸せいっぱいでしたが、いざ馬を走らせようとすると、道に投げだされてしまいます。ちょうどそこへ、牝ウシを引いた農夫がやってきて――。

グリム童話をもとにした絵本です。作者のホフマンは、「おおかみと七ひきのこやぎ」など、数かずの傑作をえがいています。本書では、ハンスの旅は、左から右に進んでいき、出会ったひとびとは背を向けて、舞台から退場していきます。背景はなく、文章はページ下に、字幕のように一列にならんでいて、物語をにごらせることなく、じつに巧みにみせています。瀬田貞二さんの訳はリズミカル。《しゅじんがこたえていうことに、「よくやってくれたからにゃ、たんまりやらねばなるまいよ」》――という具合です。さて、このあとハンスは、牝ウシをブタと、ブタをガチョウと、ガチョウを砥石と交換します。わらしべ長者の逆をゆくような、愉快な一冊です。小学校低学年向き。

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