2013年1月16日水曜日

100リラのシトロン












「100リラのシトロン」(八百板洋子/文 太田大八/絵 フレーベル館 2000)

昔、あるところに3人の兄弟がいました。3人とも、お城のお姫さまが大好きでした。でも、だれもお姫様に打ち明ける勇気はありませんでした。3人はヒツジ1頭もない貧しい若者でしたし、お姫さまはそれはそれはきれいだったのです。

ある日、3人は大きな月桂樹の木の下で約束します。「どこか遠くにはたらきにいこう。100リラお金を貯めて、2年たったらまたこの木の下で会おう。そして、お姫さまに結婚を申しこもう」

トルコの昔話をもとにした絵本です。巻末の文章によれば、このお話は、イスタンブールからおよそ600キロ南に位置するウスパルタ出身のラマザン・アイテキンさんから、八百板さんが直接聞いた話だそうです。絵を描いた太田大八さんは「やまなしもぎ」など、数かずの絵本を手がけています。タイトルになっているシトロンとは、柑橘類の果物のこと。さて、このあと、3人の兄弟は、それぞれヒツジ飼いをしたり、仕立屋ではたらいたり、靴屋の手伝いをしたりして100リラをかせぎます。そして、そのお金で、1番上の兄は一番会いたいひとが映る鏡を、2番目の兄は空飛ぶじゅうたんを、末の弟は香りをかぐと死んだひとが生き返る不思議なシトロンを、それぞれ買って、月桂樹の下で再会します。「うできき四人きょうだい」といった、似たお話と読みくらべてみるのも面白いでしょう。小学校低学年向き。

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