2012年12月15日土曜日

マドレーヌといぬ












「マドレーヌといぬ」(ルドウィッヒ・ベーメルマンス/作 瀬田貞二/訳 福音館書店 1973)

ある日、散歩の途中、マドレーヌは橋の上からすべって川に落ちてしまいました。すると、1匹のイヌが飛びこんで、おぼれそうになっているマドレーヌを助けてくれました。みんなは、その勇ましいイヌを連れ帰り、ジュヌビエーブと名前をつけました。

月日はめぐり、5月になって、評議員たちがぞろぞろ学校検査にやってきます。評議員たちは、「イヌは学校に入るべからずです」と、ジュヌビエーブを追い出してしまいます──。

「げんきなマドレーヌ」の続編です。登場人物や舞台や物語の構成は、前作を踏襲しており、親しみが増しています。さて、ジュヌビエーブを追い出されたマドレーヌは大いに怒ります。「ジュヌビエーブほどえらいイヌはいないわ。あなたには天罰がくだりますから!」。でも、怒ってばかりはいられません。ミス・クラベルにうながされ、みんなはパリ中をさがしまわります。ですが、ジュヌビエーブはみつからず──と、お話は続きます。訳者の瀬田貞二さんは、その翻訳でしばしばむつかしい言葉をつかいます。本書で、川に落ちたマドレーヌをジュヌビエーブが助けるところは、こんな訳になっています。「1ぴきの いぬが とびこんで、マドレーヌを くわえ、もくずになるみを たすけてくれました」。「もくずになるみ」といういいまわしが愉しいです。コールデコット賞受賞。小学校低学年向き。

0 件のコメント:

コメントを投稿