2012年6月11日月曜日

くだもの











「くだもの」(平山和子/作 福音館書店 1981)

赤ちゃん絵本の代表作です。ページを開くと、まず、まるごとのスイカがあらわれます。次のページを開くと、切って、フォークがそえられ、お皿にのせられたスイカがあり、「さあ、どうぞ」。次はモモ、その次はブドウ、その次はナシと続きます。

絵は、水彩でえがかれた、大変写実的なもの。ただ写実的なだけではなく、思わずつばを飲みこんでしまうような、味覚を刺激せずにはおかない素晴らしい絵です。そのあまりの出来映えには、大人も絵に近づいて見てしまうほど。また、果物の名前が書かれたフォントと、「さあ、どうぞ」と書かれたフォントは使い分けられていて、2つのことばの意味のちがい(「モモ」は読者全員に向けられたことば、「さあ、どうぞ」はほかならぬ自分に向けられたことば)をあらわしています。

さて、この絵本の具体的な使い方については、「絵本が目をさますとき」(福音館書店 2010)という本のなかで、長谷川摂子さんが懇切丁寧に書いています。

〈まるごとのすいかの場面、私は必ず「切って食べようね」と話かけながらページをめくる。あかちゃんは「うん」とうなずく。めくると、ちゃんと切られた、水もしたたる赤いすいかが皿にのっている。「さあ、どうぞ」とすすめれば、たいていのあかちゃんは手を出すし、もし戸惑うようだったら、お母さんがまず手を出して食べるまねをして「ああ、おいしい、おいしい」って言ってあげればきっとだいじょうぶ〉

長谷川摂子さんによる本書の使用法は、まだまだ続きます。幼児向き。

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