2012年2月1日水曜日

たったひとつのねがいごと












「たったひとつのねがいごと」(バーバラ・マクリントック/作 福本友美子/訳 ほるぷ出版 2011)

お母さんがカゼをひいて寝こんでしまったので、モリーはマントをはおり、帽子をかぶって、晩ごはんの魚を買いにでかけました。すると、知らないおばあさんに声をかけられました。「今夜、あなたのお皿の魚から、骨が1本みつかります。それは、魔法の骨ですから、大事にとっておきなさい。あなたのお願いをどんなことでもひとつだけかなえてくれます」

見知らぬおばあさんがいったとおり、その晩モリーが魚をすっかり食べてしまうと、白い骨が1本あらわれます。弟たちや妹たちは、モリーがなにをお願いするのか知りたくてたまりません。そのうち、弟たちや妹たちは、ぐったりしているウサギを治してほしいとか、お母さんが大事にしている器を割ってしまったので、もとにもどしてほしいとかいってくるのですが──。

作者は、「ないしょのおともだち」などを描いたひと。カバー袖の文章によれば、この作品はディケンズのお話にヒントを得てつくられたそうです。そのせいか、舞台はヴィクトリア朝のロンドンをほうふつとさせます。登場人物はすべて擬人化され、モリーたちは可愛らしいネコの姿をしています。さて、お話ですが、ぐったりしているウサギは赤ちゃんが生まれそうだったからですし、割れた器は、モリーがかけらをつなぎあわせて直します。ですが、一番下の妹のフィリスが、魔法の骨をさがしにいったきりもどってこなくなってしまって…とお話は続きます。精緻にえがかれた絵が、大変見応えのある1冊です。小学校中学年向き。

0 件のコメント:

コメントを投稿