2012年1月19日木曜日

はじめてのかり









「はじめてのかり」(オノン・ウルグンゲ/作 唐亜明/作 ムンフジン・チュールテミン/絵 福音館書店 2005)

モンゴルの大草原に住むバートルは、ある冬の日、父さんにシカ狩りにつれていってもらえることになりました。母さんが縫ってくれた、狩りのときに着る特別にあたたかい服を着て、父さんと一緒に馬を走らせました。山あいの窪地にテントを張り、一泊すると、父さんは狩りにでかけ、バートルと叔父さんは留守番をしました。

夕方、父さんはシカをしとめて帰ってきます。バートルは父さんにお願いし、次の日、一緒に狩りに連れていってもらいます。夕方、父さんはバートルを湖に連れていき、こういいます。「この湖の水は塩辛いので、夜になるとシカが塩をなめにやってくる。いいか、バートル。静かにしているんだぞ。ちょっとでも物音をたてると、シカが逃げてしまうからな」

モンゴルを舞台にした絵本です。絵はおそらく水彩。凍てつくような寒さや、草原の雄大さなどが、みごとに表現されています。このあと、夜、湖でシカを待っていると、湖のむこうに光が明滅して、バートルは思わず「こわい」と声をあげてしまいます。それで、その日の狩りは終わりになり、バートルは声をあげたことを恥じるのですが、「あれはトラの目だ」と父さんはいいます。そして、バートルはトラとイノシシのたたかいに立ち会うことになり…と、物語は続きます。自然の厳粛さが感じられる、骨太な一冊です。小学校低学年向き。

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