2011年7月26日火曜日

ジルベルトとかぜ











「ジルベルトとかぜ」(マリー・ホール・エッツ/作 たなべいすず/訳 富山房 1978)

風が戸口で「おーい」と、ちっちゃい声で呼んでいるのが聞こえます。〈ぼく〉は風船をもって外にとびだします。はじめ、風はおとなしく風船を空にふわふわ浮かべていますが、突然、風船をさっととり上げ、木のてっぺんにはこんでしまいます。「お願いだから返してよ」といっても、風は笑って「おーい」とささやくだけです──。

風を相手にひとり遊びする男の子をえがいた絵本です。風は洗濯ものを吹き飛ばしてしまいますし、カサをこわしてしまいます。風は、草の上を走っていけるのに、〈ぼく〉は地面を踏んで草をかきわけていかなくちゃいけないから、かけっこするといつも風が勝ちます──。

絵は、鉛筆でえがかれたデッサン風の絵に、白と茶色でわずかに着色されたもの。男の子のしぐさや、風の感じがよくとらえられ、まるでページのなかに風が吹いているようです。文字が小さいので、お話会などで読むには少し不向きかもしれません。小学校低学年向き。

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