2011年6月15日水曜日

ながいながいよる












「ながいながいよる」(マリオン・デーン・バウアー/文 テッド・ルウィン/絵 千葉茂樹/訳 岩波書店 2001)

雪が深くつもった、静かな夜の森に、風が吹きました。風は、クマとネズミが眠っている穴に入りこんでいいました。「ここはただ、暗くて寒いだけ」。雪の上では、カラスが鳴きました。「太陽がいなくなって、ずいぶんたつじゃないか。このおれが連れもどしてやる」。すると、風がため息をつきました。「ちがうちがう。あなたじゃない」──。

ヘラジカやキツネも、太陽を連れもどしてやると息巻きますが、そのたびに風は、「ちがうちがう」といいます。そして、「お日様をとりもどすのは一体だれなの?」といっている小鳥にこたえます。「あなたよ。あなたにしかできない」。

寒い冬の夜、太陽が昇るまでをえがいた絵本です。冬の夜はじつに冷えびえとしていますし、動物たちのしぐさは、じつにたくみにえがかれています。ラスト、夜が明ける瞬間が印象深い、詩的な絵本です。小学校中学年向き。

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