2011年5月18日水曜日

ダイアナと大きなサイ










「ダイアナと大きなサイ」(エドワード・アーディゾーニ/作 あべきみこ/訳 こぐま社 2001)

ある冬の夕方、リッチモンドの町のクイーンズ通り43番地のジョーンズさんの家では、ジョーンズさんと、奥さんと、娘のダイアナが居間でくつろいでいました。すると、ゆっくりと開いたドアのあいだから、角に赤ちゃんの上着を巻きつけた大きなサイが頭を突きだしました。奥さんは、「キャーッ! サイが赤ちゃんを食べた」と叫んで、床に倒れ、気を失ってしまいました。でも、ダイアナはもののわかった子だったので、「サイが人間の赤ん坊なんか食べるはずないわ、このサイはかわいそうにひどいカゼをひいているのよ」といいました。

ダイアナは戸棚から必要な薬をとりだし、暖炉でトーストをあぶってはサイに食べさせます。ところで、サイが角に赤ちゃんの上着を巻きつけていたのは、サイのことを気に入った赤ちゃんが上着をあげたためでした。いっぽう、ジョーンズさんは警察署や消防署や動物園に電話をし、サイを殺すためにひとがやってくるのですが、ダイアナがサイの前に立ちふさがって──。

カラーと線画が交互にあらわれる構成です。ストーリーはこのあと、ダイアナとサイの生涯に渡る交流をえがいていきます。ひとりの女の子の人生が、ひとつの絵本に収められているのが、とても魅力的です。

本書の冒頭には、「リッチモンドの町のクイーンズ通り43番地に住む孫のスザンナ、クエンティ、ドミニクへ」という献辞が記されています。ひょっとすると、この本にでてくる家の様子などは、お孫さんが住んでいた家なのかもしれません。小学校中学年向き。

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