2011年5月17日火曜日

ゴールディーのお人形











「ゴールディーのお人形」(M.B.ゴフスタイン/作 末盛千枝子/訳 すえもりブックス 2003)

ゴールディー・ローゼンツヴァイクは、両親が亡くなってから、たったひとりで家に住み、両親が残した人形づくりの仕事をしていました。仕事の好きなゴールディーは、両親が8年間かかってつくったのと同じくらいたくさんの人形を4年でつくりました。そして、いつも間にあわないくらいの注文を受けていました。

ゴールディーはいつも、とてもていねいに仕事をします。いったん、人形の頭と体ができあがると、それを作業台の上に置いたまま寝てしまう気にはなれません。まだ、ゴールディーにしかみえていない、この小さな人形に、責任があるような気がするのです。

人形をつくるときは、いつも森でひろった枝をつかいます。「どうしてきみは、きみの両親みたいに、僕の大工仕事の残りにでる木っ端をつかわないの?」と、友人の大工、オームスはいいますが、きれいに四角く切ってある木だと、生きているような気がしないからです。

ある日、人形を入れる木の箱をつくってもらいにオームスを訪ねたゴールディーは、その足で町にむかいます。金物屋さんにいき、パン屋さんでパンを買ったゴールディーは、ミスター・ソロモンの雑貨屋で、素晴らしく美しい中国のランプと出会います――。

ゴフスタインによる読物絵本です。横書きの、小さくて瀟洒なで、本としてのかたちがよく物語にあっています。このあと、中国のランプを買ったゴールディーは、分不相応な買い物をしたのではないかと落ちこむのですが、そのとき不思議な出会いが訪れます。この本でも、ゴフスタインはシンプルきわまりないスタイルで、心に残る一冊をつくっています。小学校高学年向き。

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