2011年5月15日日曜日

ちいさな赤いとうだい












「ちいさな赤いとうだい」(ヒルデガード・H.スウィフト/文 リンド・ウォード/絵 掛川恭子/訳 2004)

ずいぶん前のこと、ハドソン川の突端の岩場に、小さな赤い灯台が建てられました。灯台の後ろには、大勢のひとが暮らすニューヨークの町がひろがっていました。昼間は、たくさんの船が灯台に挨拶をしながら、いったりきたりしました。夕方になると、灯台守のおじさんがやってきて、灯台に明かりを入れました。すると、小さな灯台はピカッ、ピカッ、ピカッと、すぐにみんなにわかることばで声をかけはじめました。気をつけるんだよ! ぼくはここにいるよ! ピカッ、ピカッ、ピカッ。

みんなに声をかけるとき、小さな灯台はいつも自分が大きくて役に立っていてえらくなったような気になります。ところが、ある日、大勢の男たちがやってきて、灯台のそばの地面を掘りはじめます。それから、鋼鉄の柱が何本も立ち、じき大きな橋がかかります。橋が強力な光を発するのをみた小さな灯台は、意気消沈してしまうのですが、そこへ霧と嵐がやってきて──。

実在する灯台をもとにつくられた絵本です。巻末に灯台の来歴についての文章が記されています。絵は水彩。船や灯台や橋には、なんとなく顔があるようにえがかれています。また、嵐の場面は大変な迫力です。絵もストリーも素晴らしくよくできた傑作絵本です。小学校低学年向き。

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