2011年4月12日火曜日

アンジュール











「アンジュール」(ガブリエル・バンサン/作 ブックローン出版 1986)

文字のない絵本です。冒頭、車から犬が捨てられます。タイトルのアンジュールというのは、この犬の名前でしょうか。アンジュールは走り去る車を必死で追いかけます。が、追いつくことはできません。ひとりぼっちになったアンジュールは、道路を渡ろうとして交通事故を引き起こしてしまいます。空に吠え、汀を歩き、町に入り、いくあてもなく歩き続きけます──。

絵は、鉛筆によるデッサンのみ。ですが、大変な情感がこめられ、読む者の気持ちを深くゆすぶります。副題は「ある犬の物語」。子ども向きというより、大人向きの絵本でしょう。振りむいたアンジュールの姿が忘れられなくなる一冊です。

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