2011年2月16日水曜日

シンドバッドの冒険












「シンドバッドの冒険」(ルドミラ・ゼーマン/文・絵 脇明子/訳 岩波書店 2002)

昔、バグダッドの都に、荷かつぎのシンドバッドという男がおりました。ある日のこと、ひとりの立派な老人が気持ちよさそうな乗り物にゆられ、召使いを従えてやってきました。その老人の名前もシンドバッドというのを聞いた男は、「名前はおんなじなのに、あっちはあんなに金持ちで、重い荷物に押しつぶされて、うんうんうならないでもすむんだからなあ」と、つぶやきました。すると、召使いのひとりがやってきて、男はお屋敷に連れていかれました。

男を招待した老人は、「わたしとて、ずっとこうだったわけではない。これでも飢えや渇きや大きな危険をくぐり抜けてきたのです」と、自分の冒険を話しだします。

千一夜物語中の、シンドバッドの冒険を絵本にしたものです。このあと、商人として船に乗りこんだ若きシンドバッドは、大きなクジラの背中を島と勘ちがいいて上陸したり、そのあげく遭難したり、たどり着いた島でロク鳥という巨大な鳥に出会ったり、大蛇でいっぱいのダイアモンドの谷に入りこんだりします。

巻末の「訳者のことば」によれば、本書はシンドバッドの7回の冒険のうち、1回目と2回目の冒険をひとつにまとめたものだそうです。作者のルドミラ・ゼーマンは、詩情あふれる映像作家として高名なカレル・ゼーマンの娘です。本書は、父であるカレル・ゼーマンに捧げられています。絵は、精緻で色彩に富み、それでいて統一感のある魅力的なもの。続編に「シンドバッドと怪物の島」「シンドバッドの最後の航海」の2冊があります。読むと、続きが読みたくなること請け合いの1冊です。小学校高学年向き。

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