2010年4月28日水曜日

スズの兵隊












「スズの兵隊」(アンデルセン/文 マーシャ・ブラウン/絵 光吉夏弥/訳 岩波書店 1996)

あるところに、1本足のスズの兵隊がいました。最後に鋳型に入れられたので、スズが足りなかったのです。スズの兵隊がいたテーブルの上には、ほかにもいろんなおもちゃがありました。一番目立つのは紙のお城で、その出入り口には、きれいなバレエの踊り子が立っていました。あのひとが、ぼくのお嫁さんになってくれたらなあと、スズの兵隊は思いました。せめて、あのひとと友だちになれたらなあ。

ある日、スズの兵隊と踊り子がみつめあっていると、びっくり箱から小さな黒鬼が飛びだしてきていいました。「スズの兵隊、そんなにじろじろみるもんじゃないぞ」。けれども、スズの兵隊は聞こえないふりをしていました。「ようし! 朝になってみろ!」と、鬼はいいました。次の日の朝、小鬼のしわざか、風のせいか、いきなりパタンと窓が開くと、窓のへりにいた兵隊は、まっさかさまに外に落ちてしまいました──。

その後、さまざまな冒険があり、スズの兵隊はぶじ元の部屋にもどってきます。ところが、最後に思いがけないことが起こります。

アンデルセンの童話をマーシャ・ブラウンが絵本にした、もの悲しく美しい絵本です。読み終えてから、もう一度タイトルを開くと、そこにえがかれた絵はあの場面だったのだとわかります。小学校中学年向き。

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