2010年4月23日金曜日

ルイーザ・メイとソローさんのフルート












「ルイーザ・メイとソローさんのフルート」(ジュリー・ダンラップ/作 メアリベス・ロルビエッキ/作 メアリー・アゼアリアン/絵 長田弘/訳 BL出版 2006)

高いところから飛び降りてねんざした罰として、ルーイはお父さんに反省文を書くようにいわれました。でも、字より染みのほうが多いような文章しか書けません。ある日、ルーイは町の子どもたちと一緒に、ソローさんに連れられて、ハックルベリーを摘みにいきました。みんながハックルベリーを摘んでいるあいだ、ソローさんはフルートを吹いていました。あんなに変わったひとが、こんなに素敵な音楽をどうやって吹くことができるんだろうと、ルーイは思いました。

その後も、ルーイはしばしば家の仕事をさぼっては、ソローさんの野外観察にでかけました。ルーイのなかに閉じこめられていたのは、ことばでした。秋がすぎ、冬がすぎ、春がやってきたとき、まるで氷がとけるようにことばがあふれだし、ルーイはそれを詩にします。

「若草物語」を書いたルイーザ・メイ・オルコットと、「森の生活」で有名なソローとの交流をえがいた読物絵本です。なにか決定的なエピソードが書かれているわけではありませんが、ルーイがことばをみつけるのに、ソローとの交流が必要だったことが自然にうなずかれるようにえがかれています。あとがきによれば、ルーイがはじめて書いたその詩をお母さんにみせたとき、うれしくてたまらないアビー・オルコット夫人は大声で、「あなたは大きくなったらシェイクスピアになるわ!」といったそうです。小学校高学年向き。

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