2010年3月25日木曜日

天人女房











「天人女房」(稲田和子/再話 太田大八/絵 童話館出版 2007)

昔、天人がふたり、天から降りてきて、川で水浴びしていました。そこへ、若い牛飼いの男が通りかかって、木にかかっていた羽衣をみつけました。天人にひと目ぼれした男は、羽衣を一枚、自分の背負いかごにかくしました。水からあがった二人のうち、ひとりは羽衣をまとって天にのぼっていきましたが、もうひとりは自分の羽衣がみつからないので泣きだしてしまいました。そこで、牛飼いの男はいいました。「天に帰れんとなら、おれん家にこい」

こうして、牛飼いと天人は夫婦になり、7年すぎたときには2人の子どもにも恵まれ幸せに暮らします。ところが、子どもたちがうたっている歌から、羽衣の隠し場所を知った天人は、「わたしと子どもが恋しくば、天にのぼってきてくだされ」と置き手紙をし、子どもをつれて天に帰ってしまいます。

男は途方に暮れますが、心配して訪ねてきたとなりのひとから天にのぼる方法を教わり、牛を埋めて生えてきた竹をのぼって天へとむかいます。男はぶじ女房や子どもたちと再会しますが、牛飼いには父神からさまざまな試練があたえられます。

鹿児島の昔話を元にした絵本です。物語は最後、七夕由来譚となって終わります。巻末に、稲田さんによる非常にいきとどいた解説がついています。小学校中学年向き。

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