2009年11月20日金曜日

たまごからうま












「たまごからうま」(酒井公子/再話 織茂恭子/絵 偕成社 2003)

あるところに、ダーという名前の怠け者の男がいました。歩くのもくたびれると思ったダーは、市場にいき、馬を買うことにしました。ところが、馬は高くてダーのもっているお金では買えません。すると、ひとりの男がよってきて、ダーにこうささやきました。「だんなさんにだけ特別安く、馬のたまごを売ってあげましょう」。

馬のたまごというのは、じつは大きなカボチャ。でも、すっかりだまされてしまったダーは、カボチャをうちにもって帰ろうとします。うちに着くまで必ずかついでいくようにといわれていたのですが、あんまり重いので途中でひと休み。すると、通りがかったキツネがカボチャにつまずき、カボチャはばかっと割れてしまいます。キツネのことを、たまごからかえった馬だと思ったダーは、逃げてゆくキツネを一目散に追いかけます。

物語と同じように絵も豪快です。夕焼けのなか、ダーがキツネを追いかける場面が、おかしくも美しい絵になっています。この後、キツネを見失ったダーは、サルを、そしてなんとトラを馬だと勘違いして追いかけます。原作はベンガルの民話。もとの話はジャッカルだそうですが、日本の読者に親しみやすいようにキツネにしたということです。ラスト、馬だと思ってトラの背にしがみつくところは、わが国の「むるやのもり」を思い起こさせます。小学校低学年向き。

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