2009年10月7日水曜日

むかし、ねずみが…












「むかし、ねずみが…」(マーシャー・ブラウン/作 晴海耕平/訳 童話館 1994)

ある日、インドの行者が木の下にすわり、「大きいということ、小さいということ」について考えていました。そこへ、カラスに追われたネズミが、目のまえを走り抜けていきました。行者はネズミを助けると、森のなかの自分の住まいに連れていき、牛乳と米粒でもてなして、元気づけてやりました。

ところが、こんどはネズミを狙ってネコがやってきます。そこで、行者は魔法をつかって、ネズミをネコの姿に変えてやります。その夜、森でイヌが吠えると、ネコはおびえてベッドの下にもぐりこんでしまいます。そこで行者は、深く考えることもなく、ネコをイヌの姿に変えてやり――。

数かずの傑作絵本を手がけた、マーシャ・ブラウンによる絵本です。副題は、「インドに古くから伝わるおはなしより」。絵は、おそらく版画。少ない色数を巧みにつかい、みごとに登場人物たちを造形しています。さて、ついに行者にトラにまでしてもらったネズミでしたが、あんまりわがもの顔で森のなかを歩くので、ある日行者に、「わしがいなかったら、おまえは相変わらず哀れな小さいネズミにすぎない」と、たしなめられます。恥をかかされたと思ったトラは、行者を殺してしまおうと思い――。コールデコット賞受賞作。小学校中学年向き。

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