2009年10月2日金曜日

シマフクロウとサケ












「シマフクロウとサケ」(宇梶静江/古布絵制作・再話 福音館書店 2006)

村の守り神、シマフクロウのカムイチカプは、山でひとり暮らしてきたので、つまらなくなって山を下り、浜へおりてきました。木にとまって沖のほうをみていると、神の魚、サケの群がやってきました。先頭のサケはカムイチカプをうやまいましたが、最後にきた「しっぽが裂けたもの」と呼ばれるサケたちは、カムイチカプのことを侮辱しました。がまんならなくなったカムイチカプは、銀のひしゃくシロカネピサックと、金のひしゃくコンカネピサックをつかい、海の水を汲みつくしてしまいました。

副題は「アイヌのカムイユカラ(神謡)より」。物語は、カムイチカプの1人称で語られています。また、アイヌ語の発音にあわせ、カムイチカプのプの字は小さな文字で表記されています。絵に当たる部分は、アイヌの伝統刺繍を生かして宇梶静江さんが創作された「古布絵(こふえ)」によって表現されています。刺繍によってえがかれたカムイチカプの姿は、一度みたら忘れられないでしょう。静けさをたたえた、美しい絵本です。小学校低学年向け。

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