2009年5月19日火曜日

にんじんのたね












「にんじんのたね」(ルース・クラウス/作 クロケット・ジョンソン/絵 小塩節/訳  こぐま社 2008)

男の子がにんじんの種を、ひとつぶ土にまきました。すると、お母さんがいいました。「めはでないとおもうけど」。お父さんもお兄さんもいいました。「めなんかでっこないよ」。それでも、男の子は毎日草をとり、水をかけてやりました。はたして、にんじんの芽はでるでしょうか?

ルース・クラウスとクロケット・ジョンは夫婦で、夫婦合作の第1作がこの作品だそうです。旧訳に「ぼくのにんじん」(渡辺茂男/訳 ペンギン社 1982)がありますが、訳がずいぶんちがいます。

《「ぼくのにんじん」は直訳すれば「にんじんのたね」となりますが訳文のリズムをだすためにこんな日本語題にしました》

と、旧訳で渡辺茂雄さんは書いていますが、どんな風にちがうか、冒頭の一文をならべてみましょう。

「ぼくのにんじん」
《ぼく にんじんの たね まいたんだ》

「にんじんのたね」
《にんじんの たねを ひとつぶ、おとこのこが つちに まきました》

ちなみに原文「The Carot Seed」は、
《A little boy planted a carrot seed.》

さて、本書の内容については新訳の訳者、小塩節さんのあとがきから引きましょう。

《この小さなお話は、にんじんの種の命の強さと、名もない男の子が確信と愛をもってにんじんを助けたことと、このふたつのことが語られる、感動的な二重奏にほかなりません》

幼児向き。

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